水圧開放装置とは?~シャッター用非常電源蓄電池設備について解説~
こんにちは!
今回は「水圧開放装置」と呼ばれる
シャッター用非常電源蓄電池設備
(以後、水圧開放装置と呼びます)を
ご紹介します!
はじめに
先日、お客様からこのような質問を
頂きました。
シャッターに水圧開放装置を設置したいけど、
これってどんな製品なの?
一般の方は馴染みのない響きだと思います。
簡潔な結論はこちらです。
火災による停電時に、消防隊のホースを使って
シャッターを開放する装置です。
ここ3か月ほどでお問い合わせが急増しています。
今回は蓄電池が設備されている水圧開放装置を
ご紹介させていただきます。
本記事の目的
- 水圧開放装置とは何か?設置することによるメリット
- 消防設備との関係【規制緩和】を知る
- 動作の仕組み・流れ
水圧開放装置とは?
この章では”水圧開放装置とは何か?”を詳しく
ご紹介していきます。
はじめにシャッターメーカー各社の定義はこちらです。
(順番は不順同で記載いたします)
火災による停電時でもシャッターを電動開放し、消火活動のための有効な開口部を確保するための装置です。
三和シャッター工業(株)様HP:”非常電源装置・水圧開放装置”より
水圧スイッチと組み合わせて、非常時に外部から消防ホースの水圧を利用し、停電時でも人が通れる高さまでシャッターを開放する装置です。
東洋シヤッター(株)様HP:”水圧開放装置(パニックオープナー)”より
シャッターをガス切断機やエンジンカッターなどで破壊することなく、消防放水の水圧で外部から素早く開放できる水圧開放装置です。
文化シャッター(株)様HP:”防煙製品・防災製品シャッター用非常電源蓄電池設備|ジェットパワー”より
各社とも前述したとおり、
”火災による停電時”、”消防ホースを使用して開放すること”
が共通しています。
この”水圧開放装置”を設置する事で、消火活動により早く、
消防設備の設置義務に関する規制緩和を受けることが
できます。
設置するメリット
今回紹介している水圧開放装置は画期的な装置です。
理由は設置したとき、メリットが大きいことです。
設置するメリットと設置しない場合のデメリットを
比較してみましょう。
水圧開放装置を設置するメリット
- 消火活動時、シャッターを破壊することなく、建物内へ入れる
- そのため、建物内へ入る時間が短縮でき、消火活動が早まる
- シャッターを壊す道具が不要になる
- 消火器などの消火設備の設置義務の規制緩和を受けられる
水圧開放装置を設置しないデメリット
- 消火活動時、シャッターを破壊しなくてはならない
- シャッター破壊に時間がかかり、消火活動が遅れる
- 事前にシャッターを壊す道具を用意しなければならない
- シャッターを修繕しなくてはならない
このように水圧開放装置の有無により、
上記の違いが現れます。
メリットの中の”規制緩和”は後ほど、
開設させていただきます。
水圧開放装置が登場する前は消防隊により、
ガス溶断やエンジンカッターなどを使って
シャッターを破壊し、建物内に入り、消火活動をしていました。
そのため、先の「水圧開放装置を設置しないデメリット」で上げた通り、
シャッターを破壊し、建物内にて消火活動を行います。
消火活動は急を要することなので、仕方ないといえば
それまでですが、デメリットが大きい。。。
こういった経緯があり、
”水圧開放装置”という装置が出来ました。
消防設備との関係”規制緩和”を知る
前述でお伝えした通り、
ここでは水圧開放装置のメリットであった
”消防設備に関する規制緩和”をご紹介します。
通勤していれば工場や倉庫・病院・学校・
オフィスビル・商業施設など多くの建物を見かけます。
その多くの建物が消防設備を備えています。
消防設備は法律で設置することが定められています。
そのため、対象となる建物は消防設備を設置し、
大きい建物ほど、消防設備の数が増え、
たくさんのコストを要します。
そんな中、水圧開放装置を設置する事で
設置義務の規定が緩和されます。
これを”規制緩和”といいます。
表1:規制緩和に関する表
機器 | 無窓階の場合 | 水圧開放装置設置した場合 |
消火器 | 50㎡以上 | 150㎡以上 |
屋内消火栓 | 150㎡以上 | 700㎡以上 |
スプリンクラー | 1,000㎡以上 | 6,000㎡以上 |
排煙設備 | 1,000㎡以上 | 設置しなくてよい |
非常警報器 | 収容人員20名以上 | 収容人員50名以上 |
感知器 | 煙感知器 | 熱感知器 |
表1のように様々な消防設備の設置義務が緩和されます。
2022年4月に頂いたご依頼では、
お客様(倉庫物件)自身が消防の検査で
指摘を受け、水圧開放装置を取り付けられました。
もちろん、建物の用途や面積、構造など、
様々な要因により規制緩和の条件が異なります。
ご自身の関わる建物については、
消防設備の保守点検をされている専門会社に
お聞きすることをオススメします。
(定期的に検査されている会社さんなど)
ここまで水圧開放装置のメリットについて、
ご紹介させていただきました。
次の章では実際の仕組みや動作の流れについて、
ご紹介していきます。
動作の仕組み・流れ
ここまでのご紹介で’なんとなく’メリットを
感じてもらえたのではないでしょうか?
この章では「実際にどのように動くの?」という
疑問に焦点をあてます。
水圧開放装置はいくつかの部材で
構成されています。
水圧開放装置の構成部材
- 水圧スイッチ
- 非常用電源装置
- 給水、排水パイプ
図1:水圧開放装置の構成部材
以上のような構成となり、
それぞれの部材を経由しながら、
下記のように動作していきます。
動作の流れ
- 消防用ホースを送水口に差し込み、一定以上の水圧で送水する
- 送水によって水圧スイッチで接点が入り非常電源装置へ信号を送る
- 非常電源装置で受けた信号を、シャッター制御盤に送る
- シャッターが消火活動できる高さまで上昇し消火活動開始する
図2:水圧開放装置、動作の流れ
このように動作の流れはそれほど多くはないため、
想定よりは分かりやすかったのではないでしょうか?
もし下記写真のようなものを
見つけたら、そこには水圧開放装置が
設備されています。
最後に水圧開放装置の注意点をご紹介していきます。
水圧開放装置(シャッター用非常電源蓄電池設備)の注意
ここまで水圧開放装置について、
ご紹介させていただきました。
最後に水圧開放装置の注意点をご紹介します。
水圧開放装置は、消火活動を円滑に
進めるための非常用装置です。
そのため、水圧が0.2MPa以上
(各メーカー、製品により異なります)で
起動するようになっているため、
家庭用や一般のホースでの送水はしないようにしましょう。
また、今回ご紹介している水圧開放装置は
停電時にも起動するよう、蓄電池を搭載しています。
蓄電池も消耗品のため、経年劣化します。
メーカー各社様、3~5年毎の交換が必要だと
しています。
まとめ
最後までご愛読いただき、誠にありがとうございます。
水圧開放装置について少しでも
理解する手助けになれたのであれば、幸いです。
冒頭にも書いた通り、今回ご紹介したのは
水圧開放装置の一部分に過ぎません。
他にも、手動式やプロペラ式、オーバードア用の
水圧開放装置もあります。
なにかご質問やご意見などありましたら、
お問い合わせください。
最後に本記事を作るうえで使った
出典先をご紹介します。
- 静岡市様HP:”消防隊と予防係が連携して水圧開放シャッターの試験”
- 三和シャッター工業(株)様HP:”非常電源装置・水圧開放装置”
- 東洋シヤッター(株)様HP:”水圧開放装置(パニックオープナー)”
- 文化シャッター(株)様HP:”防煙製品・防災製品シャッター用非常電源蓄電池設備|ジェットパワー”
- (株)鈴木シャッター様HPカタログ:”非常電源装置・水圧開放装置”
※順番は記載した順にしております。
次回もよろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール
-
アートシャッターは1996年の設立以来、会社設立の地である千葉県を中心に
最高のサービスをご提供できるよう尽力しております。
シャッターメーカー様各種のお取り扱いと25年の経験を活かし、
お客様の要望にお応えできるよう社員一丸となって取り組んで参ります。
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