そこに防火扉はいりますか?~防火扉の構造と設置基準~
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
今回は防火扉について、書いていきます。
ここに防火扉があるはずなのに外しちゃったんだよね。
防火扉を取り付けないといけないよね?
3名のお客様から、同時に
ご質問いただいたので、書くことにしました。
結果はすべて
「エレベーターの扉が遮炎・遮煙性能のある
ものだったため、不要だった」とのことでした。
頂いた質問の現場はこのような結果でしたが、
良い機会でしたので、まとめて書いていきたいと思います。
(引用や参照した出典先の敬称は省略いたします)
防火扉はなぜ必要なのか?
そもそも防火扉はなぜ必要なのでしょうか?
防火扉が必要な理由はこちらです。
防火扉は、火災が発生したときに完全に閉鎖し、
一般社団法人日本シャッター・ドア協会HP:各種資料 定期点検より
火災が燃え広がらないようにするだけでなく、
建物内にいる人々が安全に避難できるように
煙や炎を遮断するものです。
このような役割を果たすために、構造として
「特定防火設備の構造」と「防火設備の構造」の
2種類に分けられます。
1.特定防火設備の構造
通常の火災による火熱が加えられた場合に、
国土交通省資料:「特定防火設備の構造方法を定める件」より
加熱開始後一時間加熱面以外の面に火炎を
出さない防火設備の構造
2.防火設備の構造
防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、
e-Gov法令検索:建築基準法施行令 (遮炎性能に関する技術的基準)
加熱開始後二十分間当該加熱面以外の面に火炎を
出さないものであることとする。
第百九条の二より
詳細まで紹介すると、膨大な量になってしまうため、
参考資料を下記にURL添付させていただきます。
(青文字にリンクしているので、ご関心のある方はクリックしてください。)
- 国土交通省告示第二五一号:特定防火設備の構造方法を定める件
- 国土交通省告示第二五六号:防火設備の構造方法を定める件
以上を簡単にまとめますと、
下記のような役割を果たすために防火扉が
設置されていることになります。
防火扉の役割
- 延焼を防ぐ
- 防火区画を形成する
今回の記事の焦点である
「その場所に防火扉が必要か?」については、
「防火扉の役割を果たす必要があるか」
ということになります。
次章では、防火扉の構造と設置基準を軸に
下記進めていきます。
防火扉の構造
本章では、防火扉の構造について、詳しく紹介していきます。
まず、防火扉を構成している部品等、代表的な構造を
2種類、下記にご紹介します。
開き戸の構造
引戸の構造
建物内の多くは上記のどちらかが
取り付けられていることが多いです。
防火設備としての防火扉は
下記の観点をどう組み合わせるかで分かれていきます。
- 性能区分(特定防火設備または防火設備)
- 閉鎖方式(常時閉鎖式または随時閉鎖式)
- 開閉方式(開き戸または折りたたみ戸または引き戸)
- くぐり戸(有または無)
防火扉の構造は以上のようになります。
次章では構造を思い出しながら、設置基準を
紹介していきます。
防火扉の設置基準
前章までを踏まえながら、
「防火扉の設置基準」について、ご紹介していきます。
防火扉の設置基準は防火シャッターの設置基準と同じように
建築基準法、建築基準法施行令、消防法などが関わってきます。
法律の内容全てをご紹介すると、ここには書ききれないため、
個人的に分かりやすかった「ナブコシステム(株)」様のHPの
内容をご紹介させていただきます。
防火地域、準防火地域の建築物、それ以外の地域の耐火建築物、
ナブコシステム株式会社HP:防火戸の基礎知識:定義と設置基準より
準耐火建築物の「外壁開口部で延焼の恐れのある部分」と「防火区画」には、
防火戸の設置が必要となります。さらに「防火区画」には、
「面積区画」「竪穴区画」「異種用途区画」の3つに分類され、
それぞれで求められている性能が異なるため、適した商品の選定が必要となります。
※防火戸は防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーン等を
総称したものになります。
※国土交通大臣登録 防火設備検査員講習テキスト1 2020年度版P144参照
以上のように防火扉が必要なのかは
法律を基に「延焼の恐れのある部分」なのか、
「防火区画を形成するために必要」なのかを
検討していくことが重要ですね。
実際の現場で設置をする際は自治体(市町村等)または管轄の消防署に
確認することがおすすめです。
この場所には防火扉が不要だと思うけど、
念のため、自治体・消防署に聞いてみよう
まとめ
ここまでご愛読いただき、誠にありがとうございました。
最後にまとめていきたいと思います。
防火扉は火災が広がらないよう、特定防火設備または
防火設備の防火扉を使用して、防火区画などを形成する
ものです。
もし点検の指摘や疑問がありましたら、各メーカーや
弊社にお問い合わせをいただければと思います。
最後に本記事作成にあたり、引用や参照したものを
ご紹介して終わります。
(敬称は省略させていただきます)
引用または参照した資料の出典先
- 一般社団法人日本シャッター・ドア協会HP:各種資料 定期点検
- 国土交通省資料:「特定防火設備の構造方法を定める件」
- e-Gov法令検索:建築基準法施行令 (遮炎性能に関する技術的基準)
第百九条の二 - 国土交通省告示第二五一号:特定防火設備の構造方法を定める件
- 国土交通省告示第二五六号:防火設備の構造方法を定める件
- 日本建築学会:4節 鋼製ドア工事
- 一般財団法人建材試験センターHP:1. 対象の防火設備 – ドアクローザー(ハイブリッドドアコン NK …
- 一般社団法人日本シャッター・ドア協会HP:Ⅳ.防火設備としてのドア
- ナブコシステム株式会社HP:防火戸の基礎知識:定義と設置基準
- 国土交通大臣登録 防火設備検査員講習テキスト1 2020年度版:P144
次回もよろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール
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アートシャッターは1996年の設立以来、会社設立の地である千葉県を中心に
最高のサービスをご提供できるよう尽力しております。
シャッターメーカー様各種のお取り扱いと25年の経験を活かし、
お客様の要望にお応えできるよう社員一丸となって取り組んで参ります。
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