防火シャッターの仕組み~何が不具合ですか?~
シャッターが下がらないけど、何が原因?
不具合を直す見積もりを依頼されたが、どのように修繕すれば良いの?
このような疑問を抱いてませんか?
今回は電動シャッターや防火シャッターに起こる不具合等を紹介します。
私たちは「シャッターの専門家」として約30年、工事やメンテナンスをしています。
シャッターは部品が多ことから、修繕方法も多岐にわたります。
多くの現場では不具合の原因が特定しづらい声が多いです。
不具合の原因が分からず、修繕に取り組むと、
「他部品が不具合を起こし、悪い症状が治らない」
といった2度手間が起こります。
そのように労力ばかりがとられていくことを私たちは知っています。
この現状を打破し、労力ばかり取られる工事を
撲滅することを目指し、本記事を公開します。
創業以来、年間550件以上、現場の修繕経験を基に
現場の原因特定に使えることに強くこだわりました。
全ての事例、不具合症状を網羅することはできませんが、
現場で考え、原因特定・修繕工事に役立てるような記事にしました。
前置きが長くなりましたが、早速解説を始めましょう。
目次
防火シャッターの構成部品
冒頭で述べたように、シャッターには多くの部品が使用されています。
不具合の原因も様々だが、よくある症状は下記です。
原因が特定されない不具合の症状
- シャッターが閉鎖しない(連動しない)
- シャッターが開かない(復旧しない)
- 途中で止まってしまう(途中までしか閉鎖しない)
症状だけでは原因が特定しづらいです。
あくまで現場での経験上ですが、
上記の症状を起こす原因となる部品は以下の通りです。
- 開閉器
- リミットスイッチ
- スラット(片寄りなど含む)
- 自動閉鎖装置
- 手動閉鎖装置
これらを、紹介していきます。
不具合が出やすい部品
開閉機
開閉機はモーターと呼ばれることも多い部品です。
この開閉機がうまく機能しない場合に起きる症状は下記です。
- シャッターが閉鎖しない
- シャッターが上がらない
特に電動開閉機は制御盤内蔵の製品も多いため、
電気的に故障してしまうケースが多いです。
スラット(片寄り)
スラットはシャッターのカーテン部になります。
スラットは片方に寄る・傾くなどの症状が現れます。
スラットがズレることにより、シャッターを支える重要な部品が削れ、
大きな不具合を生むケースもあります。
スラットの片寄りはシャッターケース内からのみ、
確認できます。(通常、レールやケースで隠れているため)
対策として、定期もしくは随時的に点検を行うことが有効です。
自動閉鎖装置
自動閉鎖装置は防災盤など、防災設備と連動するうえで、
重要な部品です。
詳しくは「自動閉鎖装置の仕組み」に記載するが、
自動閉鎖装置が作動しない、作動はするが、
ブレーキ開放まで作動しきれていないなど、消防設備点検で
不良が確認されることが多いです。
後述しますが、防災設備が関係することから、防災設備の専門家と
協力し、原因特定・修繕することをオススメします。
手動閉鎖装置
手動閉鎖装置は消防点検など、点検中に見つかることが多い。
非常時に使用するからです。
手動閉鎖装置を引いても、シャッターが起動しない、
(上記写真の右側レバーを引くと、通常シャッターが降下する)
手動閉鎖装置で降下させたが、押しボタンを押しても上がらないなど、
電気的な不具合も確認されることが多いです。
上記によくある例をまとめましたが、
これ以外にも様々な不具合や原因が見受けられます。
次の章でシャッター全体の構造を把握したうえで、
実際に何が起きて、不良が発生するか、
検討できるよう、紹介していきたい。
防火シャッターの作動構造
防火シャッターの作動は下記です。
防火シャッターの作動
- 感知器⇒防災盤などによる消防設備による連動閉鎖
(以下「連動降下」と省略する」 - 手動閉鎖装置による閉鎖
- 押しボタンやブレーキ開放による閉鎖
今回は一番、お問い合わせの多い
「1.感知器⇒防災盤による連動閉鎖」を取り上げていきます。
消防設備による連動閉鎖
連動の流れは上記が通常の流れです。
- 感知器などで火災を検知
- 防災盤(受信機)へ信号が届き、シャッターなど防排煙設備に検知した信号を送る
- 防火シャッターの自動閉鎖装置が作動し、防火シャッターが閉鎖
- 自動閉鎖装置の作動と同時にマイクロスイッチが押され、
作動表示を防災盤に送る(「応答を返す」などと言う場合もある) - 危害防止装置がある場合、座板(スラット下部)が人や障害物を感知し、
一時的(およそ10秒程度)に停止し、再降下 - 防火シャッターが全閉
- 何事もない場合、防災盤などの消防設備を復旧させる
- その後、防火シャッターの自動閉鎖装置(復旧方法は機種や仕様により変わる)を
復旧させる - 防火シャッターを巻き上げる
以上がシャッター降下の流れです。
コラム:「危害防止装置」と「障害物感知装置」の違い
詳しくは弊社「危害防止装置とは?~種類と注意事項~」にあるが、
少しだけ触れさせていただきます。
危害防止装置は連動降下でもシャッター閉鎖が停止するが、
障害物感知装置は連動降下では、シャッター閉鎖が停止しない
製品です。
障害物感知装置を危害防止装置と勘違いするケースがあるので、
ご注意ください。
お問い合わせで「危害防止装置が効かない」ということで調査したが、
実際は障害物感知装置のため、連動閉鎖時に停止しない
といったケースでした。
もし危害防止装置が効かない場合は、
「本当に危害防止装置なのか?」ということも
ご確認ください。
防火シャッターの不具合の特定
この章では、現場で役立つよう、実例をご紹介します。
まずは不具合の症状を確認してください。
不具合は大きく分け、2つの原因が考えられます。
1つ目は防災設備と連動することで起きる不具合です。
消防点検・防火設備点検時に発見されるケースが多い不良です。
こちらは防火設備定期検査のトラブル事例に多くの事例があります。
ご興味のある方はご参照ください。
2つ目はシャッター単独で起きる不具合です。
シャッターが途中で止まる、押切症状があるなどです。
こちらについて、以下で実例をご紹介いたします。
ケース1.シャッターが途中で止まってしまう
シャッターが途中で止まってしまう。
搬入車が出入りできないと営業ができないので、
どうにかできませんか?
このようなお問い合わせがあり、現場へ急行しました。
現場状況
現場:物流倉庫
住所:千葉県内
シャッターサイズ(おおよそ):幅8,000mm 高さ4,000mm
症状:シャッター開閉時、途中で止まってしまう
症状を再確認した後、シャッターケース内を確認しました。
原因はブラケットの損傷、駆動チェーンのコマとびでした。
写真のように駆動チェーンが伸びてしまうことで、
開閉機とシャッター駆動部の噛み合わせが合わず、
リミットがズレてしまったようです。
また、ブラケットが削れたことにより、シャッター開閉時に
シャフト自体が動いてしまい、ズレてしまうことが確認できました。
対応として、シャッター不使用をお願いいたしました。
シャッターを支えているブラケットが削れ、
いつ、シャッターが落ちるか分からない状態だったためです。
後日、修繕を行いに伺いました。
ケース2.押しボタンを長押ししないと開閉できない
シャッター開閉時、長押ししないと開閉できない。
どうしたらよいですか?
お客様から、上記のお問い合わせを頂きました。
後日、お伺いさせていただきました。
現場状況
現場:商業施設
住所:千葉県内
シャッターサイズ(おおよそ):幅3,000mm 高さ3,000mm
症状:押しボタンでの操作時、長押ししないと、シャッター開閉ができない
結論、原因は障害物感知装置が反応していたことでした。
右が施工前、左が施工後です。
座板部が元に戻らず、障害物感知装置が反応したままのため、
押切症状が発生していました。
原因は座板部にゴミが挟まっていたためでした。
その場で修繕させていただきました。
まとめ
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
最後にまとめます。
シャッターの部品は多く、使用されています。
不具合やその原因はさまざまですが、大きく分けて、2つです。
一つ目は防錆設備と連動することで起きる不具合です。
二つ目はシャッター単独での不具合です。
どちらも一つ一つ、確認しながら、原因を追究します。
原因が追究できれば、修繕方法が検討できます。
今回は実例を2つ挙げましたが、
不具合の原因はまだまだあります。
もし分からないことがあれば、
お気軽にご相談ください。
次回もお楽しみください。
誠にありがとうございました。
投稿者プロフィール
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アートシャッターは1996年の設立以来、会社設立の地である千葉県を中心に
最高のサービスをご提供できるよう尽力しております。
シャッターメーカー様各種のお取り扱いと25年の経験を活かし、
お客様の要望にお応えできるよう社員一丸となって取り組んで参ります。
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